世界のM&A(ビジネス買収)は、日本企業がグローバル競争の中で急速な成長を遂げるための重要かつ効果的な手段となっています。また、これまで日本に本社を置いていた企業も含め、海外M&Aの拠点は今後も拡大していきます。今回は、M&A種類から世界事情についてご紹介します。
M&A?3種類のM&A
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で「買収と合併」と訳されます。複数の会社を1つの会社にまとめる方法(合併)や、1つの会社が別の会社の株式や事業を買収する方法(買収)を指します。譲渡人(売り手)と取得者(買い手)は、それぞれ特定の目的のために交渉し、さまざまな種類の計画の中で合意された計画を実行します。
ビジネスM&Aには、事業や企業の経営権を移転させるのを目的とする買収、合併そして会社分割の3種類を指します。
買収
買収とは、ビジネスを管理する権利または運営する権利を購入する M&A です。支配権が売り手から買い手に移るため、時間がかからず事業を開始できたり既存事業の強化や競合他社に優位性を確立できるメリットがありあます。しかし、経営者は経営権を損失するというデメリットがあります。
合併
合併は、複数の会社を 1 つの法人に合併するM&Aです。これは、1つの会社が当事者のすべての権利と義務を引き受ける方法です。買収と大きく異なる点は、売り手の法人は完全に消滅することで、コスト削減や生産性の向上、相乗効果などの子会社同士のグループ内の再編を目的に行われるケースが多数です。
会社分割
会社分割とは、会社の一部を会社から分離し、別の会社に譲渡するM&Aです。合併と同様に、経営統合やグループ内再編を目的とするケースがほとんどです。従業員や取引先と再契約を結ぶことなく、合併よりも柔軟に組織再編が実践でき売り手側の経営権はそのまま継続することができます。ただし、許可が必要な事業は、単独では成り立たない場合がありますので注意が必要です。
世界M&A事情5選
ビジネスM&Aを大まかに理解した上で、世界規模のM&Aの事例を5つご紹介します。
Microsoft社によるLinkedInの買収
Microsoft は、企業向けのSNSプロバイダーである LinkedIn を 1 株あたり 196 ドルで、総額 262 億ドル (約 2 兆 7700 億円) で買収しました。 262 億ドルの買収は2011 年に Skype に支払った 85 億ドルをはるかに上回り、史上最大の買収となりました。LinkedInは、キャリアやスキルを登録することで、ビジネスパーソン同士がつながることができる企業SNSサービスです。約4億人のユーザーがおり、その約半数が副社長や幹部とされています。
Google社によるYouTubeの買収
2006 年 10 月にGoogle は当時スタートアップ企業であった YouTube を 16 億 5000 万ドルで買収しました。当時、動画市場で低迷していたGoogleが、動画配信市場の独占と競争力向上を目的に買収し、売上の伸びと拡大、コスト削減を実現しました。
Facebook社によるInstagramの買収
当時従業員が13人しかいない小規模であったInstagramに10億ドルという大金を支払ったことは世界的に大きな話題になりました。インスタグラムの買収が実践された2012年以降、急速に成長しており競合他社の排除、場独占や広告収入の拡大など様々な目標を実現しました。しかし、Facebookは独占権を駆使したことにより自由な競争を意図的に阻害したと米連邦取引委員会から訴訟を提起されており、批判の声も大きいのが現実です。
Salesforce.comによるSlack Technologies Inc.の買収
SalesforceはSlack Technologiesを$277億(約3兆円)で買収しました。大手 CRM 企業のsalesforceに買収され、コラボレーションとワークフローの分野で存在感を高めました。その結果、Slackは6月に発表された2022年第1回四半期の結果で約2.8万ドルの純損失を記録しました。売上高は2億7,30万ドル、前年より36%増加しました。
武田薬品工業によるシャイアーの買収
武田薬品工業株式会社は2019年にアイルランドの製薬大手シャイアーを6兆2,000億円という巨額を投じて大規模な買収を行いました。シャイアー買収は、重点分野の強化と気性疾患治療薬の獲得を目的としています。武田薬品は、現在注力している腫瘍学、消化器病学、神経精神医学に加えて、希少疾患の4つの柱を既に保持しており優位に見えるものの財務悪化の大きな危機に直面し、世界市場で生き残るための戦略が問われます。
まとめ
今回はM&Aの種類と世界事情についてご紹介しました。M&Aで成功を収めれば、市場価値を高め、他の分野での市場シェアを拡大し、既存のビジネスを成長させることが期待できます。ただ、失敗すると経営を圧迫するリスクもあり、安易な方法ではないのが現状です。弊社では、高みを目指す企業様にアメリカ会社設立・進出成功へ向けてのお手伝いやサポートも丁寧にさせていただきます。お気軽にご相談ください。